高校時代、ある友人に「考えてるようで考えてないよね。」と言われてはや数年。
その意味もあまり分からないまま大学に入り、大学院に入って、大学院を辞めて… 。
だんだんと「考えてるようで考えてないよね。」の意味が分かってきたので、きちんとした思考プロセスを学びたいという事で、目についたこの本を手にとってみました。
結果大満足!これで『考える人』になれるぞ…!
著者について
狩野/みき
慶應義塾大学、聖心女子大学、ビジネス・ブレークスルー大学講師。グローバル水準の考える力・プレゼン力・作文力を指導するスクール、Wonderful Kids主宰。子どもの考える力教育推進委員会、代表。20年にわたって、大学等で「考える力」と英語を教える。慶應義塾大学法学部卒、慶應義塾大学大学院博士課程修了(英文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
大学でも「考える力」を教えられているようです。学生時代に「考える力」なんて教えてもらった事ないぞ!
本の概要
- 自分の意見のつくり方
- 意見交換のルール
- 大事なことに気づくには
内容について
自分の意見のつくり方
いきなり、最初のページのほうに「考える手順リスト」のようなものが書いてあります。 いろいろ細かく書いてあるのですが、要は次の3ステップを行えば良いみたいです。
- 「ある事」について何を理解しているのかを確認
- 「ある事」について理解していないことを理解する
- 自分の意見を持つ
文中では上記の3ステップを軸にして、更に細かで、様々な手法が示されていました。具体例も豊富で、実際どのように考えていけばいいのかも分かりやすい点はとても良かったです。 その中で、個人的に印象に残った点は
- 意見か、事実かの確認
- 意見だとして、その根拠は正しいのか
- 暗黙の前提はないかの確認
でした。
「意見か、事実かの確認」、「意見だとして、その根拠は正しいのか」について。ある言葉のどの部分が事実(なんらかの形で証拠を示せるもの)で、どの部分が意見(私達が考えた事で、人それぞれ違い得るもの)なのか。意見だったとしても、その根拠は正しいのかをきちんと確認するべきだとは思いました。特に、専門家の言葉は鵜呑みにしてしまう場合が多いので要注意とのこと。 まあ、専門家の意見の根拠の部分が正しいかどうかは、専門的な知識がないと判断が難しい事も多々あるでしょう。が、「事実・意見・意見の根拠」を意識して生活していくというのは、考える力をつけるには良さそうです。
「暗黙の前提はないかの確認」については、意見をつくる際だけでなく、日常の会話でも注意するべきところはあるなと思いました。 例えば、誰かに『ある事』について話すとき、話す側は『ある事』を経験済みなのでついつい話の前提となる部分を省略してしまうことがあります。 極端な例ですが、『釣りに行ったこと』を話すのに、会話の最初に「この前釣りに行ってさ…」と言わない、とか。聞く側から「え?それ釣りに行ったってこと?(怒」なんて強い口調で言われた日には、豆腐メンタルな人間(僕)は「は、はい…。」と萎縮するしかないですからね。お互いの為にも気をつけたいところ。
意見交換のルール
意見を言うとき、反論されたとき、反論に言い返すときのルールが示されています。この中からこれは!というルールをピックアップ。
- この世に絶対的な正しい意見などない、と心得る
- 反論=人格否定ではない
- 相手の話をさえぎらない
特に、「反論=人格否定ではない」というルール。どうも、「反論したり・されたり」すると「人格を否定している・された」と感じる人が多いようで。ここをみんなが理解しとかないと意見交換なんて怖くてできやしないです。いきなりキレる人とかいるし。
「相手の話をさえぎらない」っていうのは、誰しも一度は耳にした「人の話はきちんと聞こう。」に通じるものがあると思います。これは是非、国民の代表者である方々に守っていただきたい。
大事なことに気づくには
本書の最後に、自分にとって大事なことに気づく手順が記されていますが、その手順の一つに『その感情を押し殺さずに、認めてやる』というものがあります。
個人的な体験になりますが、何年も『感情を押し殺し、認めない』ことを繰り返していると、だんだんと「自分は今どんな感情なのか。」が分かり辛くなってきます。そうならないためにも、感情は全て認めてやりましょう。「自分は今こう感じているんだ。」と確認しましょう。 ただし、あくまでも「感情を認めてやる」のが大事であって、その感情をその場で発散してしまってはただの危ない人になってしまいますので気をつけましょう。
まとめ
- 意見の作り方は「理解する→分かっていない所も理解する→意見を持つ」の3ステップ
- 事実・意見・意見の根拠を意識する
- 暗黙の前提を明らかにする
- 反論=人格否定ではない
- 感情は押し殺さずに、認めてやる
「考える」ことの授業を受けたという人は少ないと思います。自分もその一人です。 ですが、基本的な部分については、この本で分かった気がします。 考え方を学びたい人、自分の意見に力を持たせたい人、「考えてそうで考えてない」人におすすめの本です。
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